吉川薫平
Kunpei Yoshikawa
吉川薫平(1998年 神奈川県出身)は、東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻を卒業後、同大学大学院修士課程を修了。
日本画の伝統的な素材である岩絵具や和紙を軸に、インクやメディウムを自在に操るミクストメディアの手法で、独自の視覚表現を追求する気鋭の作家です。
彼の作品の根底にあるのは、自然や旅路の中で遭遇する「移ろい」への鋭い洞察です。刻々と変化する光、空気の気配、そして言葉にできない感覚の断片。
吉川は、対象を写実的に再現するのではなく、その瞬間に立ち上がる「知覚の余韻」を画面に定着させようと試みます。
重なり合う色彩は、時に溶け合い、時に反発し、鑑賞者に流動的な印象を与えます。
明確な輪郭を持たないその抽象性は、観る者の記憶や感覚に深く浸透し、静かな実在感を放ちます。
Artist Statement
私は日本画材である岩絵具や和紙を基盤としながら、インクやメディウムを併用し、ミクストメディアとして制作を行っている。制作の起点となるのは、自然や旅の中でふと目にする時間の経過と、ともに移ろっていく色や自然が持つ独特な気配などの捉えきれないまま過ぎ去っていく現象に触れたときに立ち上がる感覚の断片である。
モチーフは植物や風景、あるいは抽象へと横断し、特定の対象に固執することはない。重要なのは対象そのものではなく、それに触れたときに生じる知覚や余韻である。
私にとっての作品は、形を補完するための要素ではなく、感覚そのものに触れるための媒体である。重ねられた色は互いに影響し合い、ときに濁りや揺らぎを含みながら、固定されない状態を保ち続ける。そうした不安定さの中にこそ、確かな実在感が宿ると感じている。明確な輪郭へと回収されない感覚や知覚を、素材と色彩の関係性の中で可視化することを目的としている。
吉川薫平
Yoshikawa Kunpei


