このたびSHABAでは、四季彩舎が提案する展覧会シリーズ「Art ENCOUNTERS」vol.9として、現代美術家・ヤクモタロウの個展を開催いたします。さらに同時開催として、OMIYA ART WALL でも作品を展示いたします。
ヤクモタロウは、画商の父と彫金師の母のもとに育ち、幼少期からアートが身近にある環境で創作の感性を育んできました。音楽との出会いを契機に表現への強い憧れを抱き、国内外のアートシーン、とりわけ韓国での経験を通して、既存の価値観に揺さぶりをかける独自のポップ表現へと進化していきました。彼の信念である「アートはエンタメだ」という視点は、作品全体に一貫して流れる重要な核となっています。
本展では、ヤクモタロウが継続的に取り組んできた複数のシリーズを横断的に紹介します。
まず注目すべきは、《Floppy》シリーズです。フロッピーディスクという、現代では役目を終えつつあるテクノロジーをアイコン化し、そこにファミコンのバグ画面など日本のサブカルチャー的記憶を重ねることで、デジタル時代のノスタルジーと、技術が移り変わる速度の滑稽さを鮮やかに描き出しています。本展では《Floppy (Super Mario Bros.)》《Floppy (TwinBee)》《Floppy (Super Dodge Ball)》など、世代を問わず共感を呼ぶ作品を展示します。
一方、《#hashtag》シリーズは、スマートフォン画面を想起させる構成を用いながら、AI・SNS時代における言葉の消費、拡散、更新され続けるコミュニケーションの軽さと速度をテーマとしています。#survivor、#tuesdayvibe といったハッシュタグが層を成し、ポップで華やかな画面の裏側に、現代社会の不安定さや情報過多の風景が浮かび上がります。《#hashtag20240313》など新作も含め、数点を展示します。
また、コラージュ作品《WHO ARE YOU》では、雑誌やイメージを再構成することで固定観念を揺さぶり、情報過多社会におけるアイデンティティの揺らぎをユーモラスかつ批評的に提示しています。
さらに今回は、新たな展開として《NES (TwinBee)》《NES (PACLAND)》といった“ファミコンカセットのイメージを絵画化するシリーズ”も紹介します。誰しもが一度は目にしたゲームカセットというオブジェクトに再び光を当て、文化記憶を再編集するというヤクモの姿勢がより直接的に伝わる小品群です。
ヤクモタロウにとって制作とは、人々が共有してきた大衆文化や記号に再び生命を吹き込み、そこに潜む感情・欲望・ノスタルジアを「もう一度楽しめるかたち」に変換する営みです。過去と現在、アナログとデジタル、個人的記憶と社会的記号が軽やかに交差し、私たちの視界に新しい意味を生み出します。
SHABAとOMIYA ART WALLの両会場にて展開される本展は、ヤクモタロウがつくり出す現代のポップ・アーカイブを横断的に体験できる貴重な機会となります。どうぞご期待ください。
ヤクモタロウ Taro Yakumo
1976年東京都生まれ。
現代社会を象徴するモチーフを取り入れ、ポップで鮮やかな絵画表現を展開。
実在のイメージを再構成し、リアルとフィクションのあいだに独自の視覚空間を生み出す。
Yakumo Taro
Born in Tokyo, Japan in 1976.
Yakumo incorporates motifs that reflect contemporary society,
creating vivid and pop visual expressions.
By reconstructing real-world imagery, his work generates a unique space between reality and fiction.

